科学と技術

18世紀から19世紀にかけての産業の変革は 人々の生活や考え方を大きく変えた  綿織物の生産過程が変わり  機械工業や製鉄業が変わり  蒸気機関よって動力源が変わり  蒸気船や鉄道で交通が変わった それに伴う社会構造の変革をまとめて 産業革命と呼んでいる 20世紀になると科学と技術がもっと近づき 技術のための科学と 科学を応用した技術とが 社会を豊かにしていった 人々の生活は向上したが 戦争はどんどん悲惨になってゆき 第一次世界大戦では 化学が大きな役割を果たし 毒ガス兵器が登場し 第二次世界大戦では 物理が大きな役割を果たし レーダーや原爆が登場した 化学や物理が 多くの人の命を奪っても 科学や技術への信仰は止まず 電化製品や自動車やコンピュータによって 科学の信者は世界中で増えていった 科学や技術が医療に入り込み 人の寿命はどんどん伸びる 科学や技術は農業にも入り込み 品種改良は限りなく続く 21世紀になると科学と技術は離れていって 科学ではないデータサイエンスと 科学の要らないAIと 科学の見えないブロックチェーンが 社会を大きく変えている 科学を知らない人たちに 遺伝子が弄ばれ 科学を無視する人たちに 地球環境が破壊される 自分の専門分野にしか 興味を持たない専門家は 他の専門分野のことを なにも知らない なにもコントロールできない政府と 儲からないことはなにもしない企業と カネがないために遅れていく大学と 収入のことが頭から離れない個人には なにも変えることができない 科学でも技術でもないものが 社会を変えていく 不気味としか 言いようがない